人手不足が深刻化する中で、外国人材の活用は今やどの業界でも避けて通れないテーマになってきました。
実際、日本における外国人労働者数は204万人を突破し、雇用する事業所も約31万事業所にのぼっているんです。
でも正直なところ、「外国人を雇いたいけど、採用コストや環境整備にお金がかかりそう...」って思いますよね。
安心してください!実は国や自治体が、外国人雇用を積極的に後押しする助成金・補助金制度を数多く用意しているんです。最大72万円もらえる制度もあります。
外国人雇用で活用できる助成金・補助金について、どこよりもわかりやすく解説していきます。「知らなかった」じゃもったいない!この記事を読んで、賢く外国人雇用を進めていきましょう。

そもそも「助成金」と「補助金」って何が違うの?
まずは基本から押さえておきましょう。助成金と補助金、よく混同されますが実は違うんです。
助成金とは
管轄:厚生労働省
財源:雇用保険料
目的:雇用の安定、労働環境の改善、人材育成
特徴:要件を満たせば原則として受給可能。申請のハードルは比較的低め
窓口:労働局、ハローワーク
補助金とは
管轄:経済産業省、中小企業庁、自治体
財源:税金
目的:企業の成長、競争力強化、イノベーション創出
特徴:予算や採択数に限りがあり、審査が厳しい。事業計画の内容を厳密に審査
窓口:経済産業局、商工会議所など
簡単に言うと、助成金は「人」への支援で、外国人スタッフの雇用環境整備や教育訓練に使えるお金。
一方、補助金は「事業」への支援で、外国人材を活用した事業展開や設備投資に使えるお金というわけです。
今回の記事では、特に活用しやすい「助成金」を中心に解説していきますね。
【最重要】人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)- 最大72万円!

外国人雇用で真っ先にチェックすべきなのがこの助成金です。最大72万円という金額は、外国人雇用に関する助成金の中でもトップクラス。多くの社長さんが活用を検討している制度ですよ。
どんな助成金なの?
この助成金は、外国人労働者が日本で長く働き続けられるように、職場環境を整えた企業に支給されるお金です。
外国人は日本の労働法制や雇用慣行がわからなかったり、言語の違いからトラブルが起きやすい傾向にあります。そうした外国人特有の事情に配慮して、就労環境を整備する取り組みに対して国が経費の一部を助成してくれるんです。
いくらもらえるの?
支給額は賃金要件を満たすかどうかで変わってきます。
賃金要件を満たした場合
支給対象経費の2/3(上限72万円)
賃金要件を満たしていない場合
支給対象経費の1/2(上限57万円)
賃金要件とは何かというと、外国人労働者の基本賃金が、最も遅い就労環境整備措置の実施日から1年以内に5%以上増加していることです。
つまり、外国人スタッフの給料をしっかり上げてあげれば、より多くの助成金がもらえるということですね。
何に使えるお金なの?
支給対象となる経費は以下の通りです。
通訳費用:職場での通訳者の配置や派遣費用
翻訳機器導入費(上限10万円):翻訳機やタブレットなどの購入費
翻訳料:就業規則、雇用契約書などの翻訳費用
弁護士、社会保険労務士等への委託料:専門家への相談費用(就労環境整備に関するものに限る)
社内標識類の設置・改修費:多言語表示の標識や案内板の設置費用
通訳機器や翻訳費用が対象になるのは助かりますよね。外国人スタッフとのコミュニケーションがスムーズになれば、職場全体の雰囲気も良くなります。
もらうための条件は?
主な受給要件は以下の通りです。
雇用保険適用事業所であること
外国人労働者を雇用していること(特別永住者、在留資格「外交」「公用」を除く)
外国人雇用状況届出を提出していること
認定された就労環境整備計画に基づいて措置を実施すること
過去に同助成金を受給した場合は、最終支給決定日から3年以上経過していること
離職者の割合が6%以下であること
計画期間前の6ヶ月間と計画期間中に事業主都合の解雇を行っていないこと
達成すべき目標は?
助成金をもらうためには、以下の目標を達成する必要があります。
計画期間終了から1年経過までの間、外国人労働者の離職率が10%以下であること
計画前の1年間と比較して、計画終了後1年間の日本人労働者の離職率が上昇していないこと
つまり、外国人も日本人も含めて、みんなが長く働き続けられる職場にしてくださいね!ということです。これは当然と言えば当然ですよね。
申請の流れ

就労環境整備計画を作成し、管轄の労働局へ提出
計画の認定を受ける
計画に基づいて就労環境整備措置を実施
計画期間終了後、支給申請
審査・支給決定
計画を立てて、実行して、結果を報告するという流れですね。計画的に進めることが大切です。
キャリアアップ助成金 - パートから正社員へ!最大80万円
外国人スタッフをパートや契約社員で雇っている社長さん、注目です!この助成金は、非正規雇用のスタッフを正社員化したり、待遇を改善したりするともらえるお金です。
どんな助成金なの?
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など、非正規雇用で働く人のキャリアアップを支援する制度です。
外国人労働者も対象になりますが、注意点があります。
処遇改善支援コース:すべての外国人労働者が対象
正社員化コース:外国人技能実習生や特定技能1号の労働者は対象外
正社員化コースで外国人技能実習生や特定技能1号が対象外なのは、これらの在留資格では長期的な正社員としての雇用が想定されていないためです。
ただし、永住者や定住者、技術・人文知識・国際業務などの在留資格を持つ外国人は対象になりますよ。
いくらもらえるの?
正社員化コース(中小企業の場合)
有期雇用→正規雇用:80万円(40万円×2期)
無期雇用→正規雇用:40万円(20万円×2期)
2025年度からは、支給対象期間が6ヶ月から12ヶ月に拡充され、1期あたりの金額が見直されました。
処遇改善支援コース

賃金規定等改定コース:賃金を3%以上引き上げると、対象者1人あたり中小企業で5万円(1事業所年間100人まで)
賞与・退職金制度導入コース:中小企業で40万円
社会保険適用時処遇改善コース:短時間労働者を社会保険に加入させる際の手当支給などに対して支援
もらうための条件は?
キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長に届出(2025年4月からは認定不要で届出のみ)
正社員転換後、6ヶ月分の賃金を支払い、転換前6ヶ月と比べて3%以上の賃金増額を実施
対象労働者が雇用保険の被保険者であること
就業規則等に転換制度を規定していること
この助成金のメリット
外国人スタッフにとって、正社員への道が開けるのは大きなモチベーションになります。優秀な人材を確保し、長期的に活躍してもらうための投資と考えれば、80万円の助成金は大きな後押しになりますよね。
人材開発支援助成金 - 研修費用をサポート!
どんな助成金なの?
従業員に職業訓練を実施した際の、研修費用や訓練期間中の賃金の一部を助成してもらえる制度です。外国人労働者も含め、すべての労働者が対象になります。
いくらもらえるの?
訓練時間や企業の規模によって異なりますが、例えば
経費助成:訓練経費の一部を助成(中小企業の場合、経費の45%~75%など)
賃金助成:訓練期間中の賃金の一部を助成(1時間あたり数百円~)
具体的な金額は、訓練の種類やコースによって変わるため、詳細は厚生労働省のウェブサイトで確認してください。
何に使えるの?
日本語教育プログラム
専門技術の研修
資格取得のための講座
OJT(職場内訓練)
OFF-JT(職場外研修)
外国人スタッフに日本語を学んでもらったり、専門スキルを身につけてもらったりする費用が助成されるのは助かりますよね。
もらうための条件は?
訓練計画を作成し、事前に提出
対象労働者が雇用保険の被保険者であること
職務に直接関連した訓練であること
訓練時間が一定時間以上であること
トライアル雇用助成金 - お試し雇用で月4万円
「まずは外国人スタッフを試しに雇ってみたい」という方にピッタリの助成金です。
どんな助成金なの?
職業経験が不足していて就職が困難な求職者を、無期雇用への移行を前提に一定期間試用雇用する事業主に対して助成する制度です。外国人も対象になります。
いくらもらえるの?
月額4万円(母子家庭の母または父の場合は月額5万円)
支給期間:最長3ヶ月間
つまり、最大で12万円(3ヶ月×4万円)の助成が受けられるということですね。
もらうための条件は?
ハローワークまたは職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
原則3ヶ月のトライアル雇用をすること
雇用保険の被保険者として雇用すること
この助成金のメリット
いきなり正社員として雇うのはリスクがあると感じる方も、トライアル期間を設けることで、お互いに適性を見極められます。助成金ももらえて一石二鳥ですね。
雇用調整助成金 - 不況時の雇用維持に

景気が悪化したときに、外国人スタッフを含む従業員を解雇せずに雇用を維持するための助成金です。
どんな助成金なの?
経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた企業が、従業員の雇用を維持するために休業手当を支払ったり、教育訓練を実施したりする費用を助成する制度です。
いくらもらえるの?
休業手当や教育訓練にかかった費用に応じて、一定割合が助成されます。助成率は企業の規模や状況によって異なります。
この助成金のメリット
不況時でも外国人スタッフを解雇せずに済むので、景気が回復したときにすぐに事業を再開できます。また、休業期間中に日本語教育や技能訓練を実施すれば、スタッフのスキルアップにもつながりますね。
自治体独自の補助金・助成金も要チェック!
国の制度だけでなく、各自治体も独自の支援制度を用意しています。
大阪府の例
大阪は外国人労働者が多い地域なので、独自の支援制度が充実しています。
大阪府外国人留学生等マッチング支援事業
外国人介護人材受入促進事業(介護分野)
その他の自治体
網走市(北海道):特定技能外国人材支援補助金
秋田県:外国人材定着支援事業費補助金
遠野市(岩手県):外国人材受入等支援事業費補助金
沖縄県:外国人介護人材受入支援(最大20万円)
自分の会社がある地域で、どんな支援制度があるか調べてみてください。意外と手厚い支援が用意されているかもしれませんよ。
助成金申請時の重要な注意点

助成金はとても魅力的ですが、申請時には注意すべきポイントがいくつかあります。
1. 助成金は後払い
これは重要です。助成金は先に費用を支払って、後から助成金が振り込まれる仕組みです。
つまり、まず自分でお金を用意する必要があるということ。「助成金をもらってから環境整備をしよう」というのは無理なので、資金計画をしっかり立てましょう。
2. 申請期限を厳守
助成金には申請期限があります。期限を過ぎると、どんなに条件を満たしていても受給できません。
計画書の提出期限、実施期限、支給申請期限など、複数の期限があるので、カレンダーにメモしておきましょう。
3. 不正受給は絶対NG
実態と異なる書類を提出すると、不正受給となり犯罪です。助成金の返還だけでなく、今後3年間すべての雇用関係助成金が受けられなくなる可能性があります。
社名が公表されることもあるので、絶対に不正はしないでください。
4. 書類の準備は念入りに
助成金の申請には、たくさんの書類が必要です。
就労環境整備計画書
雇用契約書
賃金台帳
出勤簿
経費の領収書
外国人雇用状況届出
外国人の在留カード写し
などなど。書類不備があると審査に時間がかかったり、最悪の場合不支給になったりするので、しっかり準備しましょう。
5. 専門家の活用も検討
助成金の申請は複雑で、専門知識が必要なことも多いです。自分でやるのが難しいと感じたら、社会保険労務士などの専門家に相談するのも一つの手です。
報酬はかかりますが、確実に助成金を受給できる可能性が高まります。助成金の金額と専門家への報酬を天秤にかけて、判断してください。
その他の外国人雇用支援制度
助成金以外にも、外国人雇用を支援する制度があります。お金はもらえませんが、無料で利用できる心強いサポートです。
外国人雇用管理アドバイザー
厚生労働省が提供する無料の相談サービスです。専門知識を持つアドバイザーが、外国人労働者の雇用管理に関する相談に応じてくれます。
外国人労働者の労務管理
トラブルの予防と解決
就業規則の整備
コミュニケーションの改善
など、様々な相談ができます。ハローワークを通じて申し込めるので、気軽に利用してみてください。
外国人雇用サービスセンター
全国の主要都市にある、外国人の就職や企業の外国人雇用を支援する施設です。求人の相談や、外国人材とのマッチングをサポートしてくれます。
登録支援機関
特定技能外国人を雇用する場合、様々な支援が義務づけられています。その支援業務を代行してくれるのが登録支援機関です。
入国前のガイダンス
住居の確保
生活オリエンテーション
日本語学習の支援
相談対応
など、手間のかかる業務を委託できるので、初めて特定技能外国人を雇う企業にはおすすめです。
国際化促進インターンシップ事業
外国人留学生をインターンとして受け入れ、企業の国際化を支援する事業です。2024年度は、受入れ1日につき人材育成支援費が一人あたり2,000円支給されました。
まずはインターンから始めて、外国人材との働き方を体験してみるのもいいですね。
助成金を最大限活用するためのコツ

最後に、助成金を賢く活用するためのポイントをお伝えします。
1. 早めの情報収集
助成金の制度は毎年変わることがあります。最新情報は厚生労働省や労働局のウェブサイトで確認しましょう。
また、複数の助成金を組み合わせて活用することもできるので、どの制度が自社に合っているか、早めに調べておくことが大切です。
2. 計画的に進める
助成金をもらうためには、計画書を提出し、その計画に沿って実行する必要があります。行き当たりばったりではダメなんです。
外国人雇用を始める前に、どんな環境整備が必要か、どんな教育をするか、じっくり計画を立てましょう。
3. 記録を残す
助成金の申請には、「これをやりました」という証拠が必要です。
研修の実施記録
経費の領収書
契約書
議事録
など、後から証明できるように、しっかり記録を残しておきましょう。
4. 従業員の定着率を高める
多くの助成金では、離職率が低いことが条件になっています。せっかく外国人スタッフを雇っても、すぐに辞められては助成金ももらえません。
働きやすい環境を作り、コミュニケーションを大切にして、長く働いてもらえるように努力しましょう。それが結果的に助成金の受給にもつながります。
5. 複数の助成金を組み合わせる
一つの助成金だけでなく、複数の助成金を組み合わせて活用することで、より大きな支援を受けられます。
例えば
人材確保等支援助成金で環境整備(最大72万円)
人材開発支援助成金で研修実施
キャリアアップ助成金で正社員化(最大80万円)
トータルで150万円以上の支援を受けることも可能です。
助成金を活用して、Win-Winの外国人雇用を!

いかがでしたか?外国人雇用に関する助成金・補助金は、思っていたよりも充実していたのではないでしょうか。
最大72万円の人材確保等支援助成金を筆頭に、様々な支援制度が用意されています。これらを上手に活用すれば、外国人雇用にかかるコストを大幅に削減できます。
ただし、助成金をもらうことだけが目的になってはいけません。大切なのは、外国人スタッフが安心して働ける環境を作り、長期的に活躍してもらうことです。
助成金は、そのための後押しをしてくれる制度だと考えましょう。
通訳や翻訳のサポート
日本語教育
専門スキルの研修
キャリアアップの機会
こうした投資をすることで、外国人スタッフのモチベーションが上がり、長く働いてくれるようになります。そして、その投資の一部を国が助成してくれるんです。
外国人労働者は、今や日本経済にとって欠かせない存在です。言葉や文化の違いを乗り越えて、共に働くことで、企業も成長し、外国人スタッフも幸せになる。
そんなWin-Winの関係を築いていきましょう。
この記事が、あなたの会社の外国人雇用の第一歩になれば嬉しいです。助成金を賢く活用して、素晴らしい職場を作っていってください!
※助成金の制度は変更される可能性があるため、申請時には最新情報を必ず確認してください。